2017年6月2日金曜日

『Masato』 岩城けい さん著 (発行所 集英社)

学校図書館書籍の紹介

 父親の勤務の関係でオーストラリアで暮らすことになった家族の物語です。主人公の姉は早々と日本に戻って来たので、子どもは主人公だけとなります。上司とのトラブルから希望もしていない海外へ異動させられた父親、海外での生活がまったく合わずに早く日本に戻りたい母親、最初は英語がしゃべられず、友人もできなかった主人公、感情豊かで個性的な3人の心の動きを詳細に表しています。

 「海外勤務」や「帰国子女」と聞くと、ついうらやましく思ってしまいがちですが、「現実は相当にシビアなんだ!」と認識させられ、海外生活の現状がドキュメンタリーのように伝わってきます。著者は、オーストラリアで20年以上も暮らしていて、風景や文化などもわかりやすく表現しています。

 結末はちょっとジーンとなりますが、その内容は高校生にも気楽に読める小説だと思います。
 

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