2016年10月14日金曜日

「ツレがうつになりまして」細川貂々(てんてん)さん著

学校図書館書籍の紹介

映画を見た人がいるかもしれませんね。残念ながら私は見ていません。イラストからして、ギャグっぽくて軽い内容かなぁと思いきや、中身が濃くてびっくりです。筆者の強い思いがダイレクトに伝わって心が動きます。わかりやすい内容で、筆者には「大変でしたね。」ではなく、「いろいろ教えていただいてありがとうございます。」と言いたいです。

 解説で精神科学教授の野村総一郎先生が、この本は正確で客観性に富んだ「ギャグ漫画」で面白すぎて実用書とは呼べない(ほどの実用書だ)と書いています。
 職業柄、うつに関して心療内科の医師の話を聞いたり、専門家の論文を読んだりしましたが、この本の内容と重なっているところが多くて、気軽に読めてしかも医学的な内容もしっかり把握している本だと感じました。

 うつは誰にでも罹る可能性がある病気です。脳内の神経伝達物質であるセレトニンの分泌異常(減少)によって引き起こされるそうですが、どうして減少するのかなど、核心部分の原因はよくわかっていません。また、大部分の人は、生涯経験することのない病気なので、周りから理解されにくいという特徴を持っています。そして、たいへん辛い、苦しい心の病です。

 もし、みなさんの家族や友達、同僚などにそんな状況になってしまった人がいましたら、できる範囲でサポートしてあげてください。もちろん一人で抱え込まないで、早めに専門家の力を借りましょう。でも、任せっぱなしにはしないでください。愛情や友情は、とても有効な治療薬になりますから・・。

 心が折れている人に「がんばれ」と言ってはいけません。「がんばれ」の言葉を使わなくても、内容的に努力を求めることも避けてください。このような人は、もうすでに精一杯努力していて限界状態なのです。励ましのつもりで言った「がんばれ」が、実は心を苦しめるのです。

 「夜は必ず明ける。」うつの治療には時間がかかります。良くなったりまた悪くなったりを繰り返しながらゆっくりと治ってゆきます。周りの人も歯がゆい思いでしょうが、本人はもっともっと情けない気持ちなのです。夜は必ず明ける、明けない夜はないんだと、ずっとずっと伝え続けましょう。

  最後に著者の言葉を・・
 「たとえ、うつになったとしても、人生の夏休みなんだ、と思ってゆっくり休養してください。」


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